米国や香港でステーブルコイン規制が進み、世界的な金利も低下傾向にあるなか、DeFi内部では静かな変化が進行している。リテール主導の時代から、機関投資家の資本とアルゴリズムによる資本配分へと移りつつある可能性がある。
Phoenix Labsの共同創業者兼CEOであり、Sparkの主要コントリビューターでもあるサム・マクファーソン氏は、オンチェーン市場に資本がどのように流入し、どのように使われるかについて、市場は転換点に近づいていると述べた。
「われわれは、機関投資家が本格的な規模でオンチェーンに入ってくる分岐点に到達しつつあります」とマクファーソン氏はYellow.comのインタビューで語った。
彼の見立てでは、この移行によって「DeFiの普及」が意味するところが再定義される。リテールの成長ループを追い求めるのではなく、コンプライアンス上の制約、バランスシートの現実、システムレベルのリスク管理を最適化する方向へと、プロトコルは押し進められていくという。
機関投資家は大きな規模でオンチェーンに
マクファーソン氏の中心的なマクロの見立ては、ここから機関投資家の参加が大きく拡大し、その勝者はコンシューマー向けアプリというより、むしろ「つなぎ目」のような存在になる、というものだ。
Phoenix Labsの戦略はその前提に基づいて構築しているとしつつ、次の支配的なオンチェーン流動性プールは、機関投資家が実際に接続でき、彼らがすでに認識しているリスクフレームワークに近い仕組みを備えたものになる可能性が高いと説明した。
こうした理由から、彼はSparkを「機関投資家向けの接続レイヤー」と表現する。機関投資家の借り手は、完全にパーミッションレスな市場にはない、KYC/AMLプロセス、固定金利商品、オペレーションのモニタリングなどの機能を必要とすることが多いと主張した。
銀行は敵ではなくパートナー
マクファーソン氏は、銀行発行ステーブルコインが自動的に分散型金融を押しのけるという見方を退けた。
むしろ、銀行がオンチェーン市場に参入しても、なおDeFiの流動性レールを必要とすると論じ、銀行のバランスシートと正面から張り合うのは非現実的だと指摘する。
「もし銀行と流動性戦争をすることになれば、われわれが勝てる見込みはありません」と彼は言う。「しかし銀行がオンチェーンに出てくるとき、そこは彼らのホームグラウンドではありません。われわれは、彼らのDeFi参入を支援できるのです。」
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低金利はクリプトネイティブ利回りを復活させるか
トークン化Tビルの利回りが圧縮し、政策金利が低下するなか、「オンチェーンの預金利回りは下がるか、より高い信用リスクを取らざるを得ない」との見方が一般的だ。
これに対しマクファーソン氏は、低金利はリスク選好を高め、それがレバレッジ需要を押し上げ、クリプトネイティブな借入・資金調達活動を活性化させうると述べる。
「金利を下げることは、より多くのクリプト投機を促します」と同氏は述べ、レバレッジ需要の増加がオンチェーン金利を支える道筋を描いた。これは、金利低下がオンチェーン利回りをむしろ下支えするシナリオだ。
この仮説が正しければ、次の利回りレジームはリスクフリー金利の単なるパススルーではなく、金融環境が緩和したときにレバレッジ需要がどれだけ早く戻るかが焦点になる可能性がある。
AIエージェント、ガバナンスの現実主義、コンプライアンスとのトレードオフ
マクファーソン氏は、AIエージェントが主要な市場参加者になると予想している。より洗練された資本配分主体が、資本効率を高め、感情駆動のボラティリティを抑制しうると主張する。
「そう遠くない将来、ブロックチェーン上の主要なオペレーターはAIエージェントになると考えています」と彼は語った。
また彼は、分散型ガバナンスを「終わりなき実験」として描写する。
大規模な調整に失敗した場合、プロダクト自体は動き続けながらも、運営構造はより中央集権的な方向へ揺り戻される可能性があると示唆した。
「うまく機能しないのであれば、よりコーポレートな構造に戻る可能性もあります」と同氏は述べる。
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