ロシア極東のアムール地方で、生成AI「ChatGPT」を使って作ったクマの合成写真が出回り、野生動物レンジャーが「存在しないクマ」の捜索に駆り出される騒ぎとなった。地元裁判所はこの騒動を引き起こした女性に対し、1万5000ルーブル(約178ドル)の罰金支払いを命じた。
主なポイント
- ロシア・アムール地方在住の女性が、友人への冗談としてChatGPTで偽のクマ写真を作成。
- 写真はメッセージアプリなどを通じて拡散し、住民から警察に通報が相次いだ結果、レンジャーが捜索に出動。
- 今年相次いだクマによる死亡事故で当局が警戒を強める中、虚偽情報への締め付けが強まっている。
「ChatGPT製クマ」騒動の経緯
アムール地方マグダガチの集落に住むこの女性は、ChatGPTを使い、地元の通りを大きなヒグマが歩いているように見せた画像を生成したうえで、9月に友人へ送信した。地域裁判所の広報が明らかにした。
広報は「冗談はすぐに手に負えない状況になった」と説明している。写真はメッセージアプリなどを通じて瞬く間に広がり、不安を覚えた住民から『町にクマが出た』との通報が警察に寄せられた。通報を受けた地区当局は、存在しないクマを追うために野生動物レンジャーを出動させた。
女性はその後、自ら警察に連絡して画像を作成した事実を認め、今週開かれた裁判で罰金支払いを命じられた。
関連記事: ステーブルコイン交換に31.4%課税の可能性、仏で「海外逃避」をチェイナリシスが警告
ロシアで相次ぐクマ被害と当局の警戒
この事件の背景には、ロシア各地で今年発生しているクマによる死亡事故の連続がある。専門家によると、クマの個体数増加に加え、ベリー類や松の実の不作が重なり、餌を求めて人間の生活圏に出没するリスクが高まっているという。
国営メディアの集計では、冬眠から目覚める春以降、クマの襲撃で少なくとも26人が死亡したとされる。
一方で、当局側もリスクを抑えようと躍起になっている。10月10日に公表された別の国営機関の統計によると、今年1月以降、「人間への脅威」と判断されたクマは3440頭以上射殺された。政府は先月、過去30年で個体数が倍増し30万8000頭に達したとされるヒグマについて、緊急の個体数管理措置の策定に入ったと表明した。温暖化による冬の短期化・高温化も増加要因の一つとされている。
AI生成「動物騒動」は今年3件目
アムール地方の事案は、今年ロシア当局が対応を迫られたAI生成の「動物騒動」としては、少なくとも3件目だ。
9月には、ザバイカル地方ドゥルドゥルガ村の女性が、AIで作成したクマの偽写真を地域自然保護省の公式チャンネルにまで拡散させたとして、3万ルーブルの罰金に加え、使用していたiPhone 11を没収されたと報じられている。
さらに1月には、沿海地方(プリモリエ)で「トラが男性を襲う」様子を描いたAI生成動画が出回り、当局が警察に通報。違反行為として、最大10万ルーブルの罰金が科され得る事案として立件された。
生成AIの普及により、写真や動画の真偽判定の重要性が高まるなか、ロシアでは野生動物をめぐる「フェイク画像・動画」への取り締まりが、実際の人身被害リスクと結びつく形で強化されている。
次に読む: MNX、OpenAIとAnthropicのバリュエーション連動「プレIPOベット」提供開始 株式保有不要の新商品

