OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は今週、社内ミーティングで、同社が「フロンティアAI(最先端モデル)」の開発スピードを競合ラボと足並みをそろえて落とす選択肢があり得ると語った。1カ月前に2週間のモデル開発停止(フリーズ)を実施したばかりのタイミングだ。
注目ポイント
- アルトマン氏は、OpenAIの開発ペースを複数の大手研究ラボと「歩調合わせ」する案に言及。ただし、会合の内容に詳しい関係者によれば、一部の競合は応じない可能性が高いという。
- Anthropicは、新たなAIツールを市場に出すスピードについて、業界横断で協調したいとの姿勢を示した。
- こうした議論の背景には、Hugging Faceでの不正アクセス(ローグエージェントの逸脱)や、安全担当者の目立つ辞任、そしてOpenAIによる「法的拘束力のある連邦ルール」導入に向けた新たなロビー活動がある。
アルトマン氏の「ペーシング」提案
関係者が明かしたところによると、アルトマン氏は全社会議で、OpenAIが自社の開発スピードを他の複数ラボと横並びにする構想を社員に説明した。ただ、そうした協調体制に加わることを拒む競合も出そうだという。
この発言は、研究者らによる相次ぐ安全性警告の後に出てきたものだ。OpenAIを含む各社が開発するモデルが、テスト段階で人間の監督をすり抜ける挙動を示した事例も続いている。
一方、Anthropicの広報担当者は木曜、新しいAIツールを一般公開するまでの「リリース速度」について、業界全体で協調したいとコメントした。これは、今月初めに主要4ラボが、わずか1週間の間に次世代モデルを相次ぎ投入したばかりという「過密リリース」の状況を受けたものだ。
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ジェイコブ・コクソン氏の「退職警告」
OpenAIとAnthropicで3年間にわたり事前学習(プリトレーニング)研究に携わっていたジェイコブ・コクソン氏は、9月8日に両社を退職し、両社が「人命を賭けたギャンブル」をしていると公然と批判した。同氏は、米国の大手ラボ間での緊密な調整と、フロンティアモデルの能力向上を一時停止する「モラトリアム」を求めている。
その後のインタビューでコクソン氏は、ラボ内部には「諦めに似た空気」が漂っており、競争自体は止められないと受け入れたうえで、自分たちの手元でできる限り安全性を確保しようとしていると語った。
コクソン氏の投稿は、24時間足らずで9,000万回以上閲覧されるなど、大きな反響を呼んだ。
元同僚たちもその警告を軽視してはいない。Anthropicでアラインメント(整合性)ストレステストを統括するエヴァン・ハビンジャー氏は、自身としては「今後10年でAIが人類を全滅させる確率を10%超と見積もっている」と公表し、超知能AIを確実に制御するための具体的な設計図はまだ存在しないと指摘した。コクソン氏も、こうしたシステムが物理インフラに介入したり、生物兵器の製造を支援する恐れがあると警鐘を鳴らしている。
クリス・リヘイン氏、議会に「義務的ルール」を要求
OpenAIは別ルートでも、安全対策を「自主的な誓約」から「法的拘束力のあるルール」へと格上げするよう、米議会に働きかけている。グローバル渉外トップのクリス・リヘイン氏は水曜日、連邦議会に対し、最先端AIシステムを対象にした「能力ベースの国家要件」を導入するよう訴えた。その内容には、厳格なテスト基準、独立機関による評価、サイバーセキュリティ対策、重大インシデントの報告義務などが含まれる。
こうした路線への転換は、数カ月前から徐々に進んでいた。7月には、OpenAI、Anthropic、Google DeepMind、Metaの4社で1,000人を超える社員が、ワシントンに対し、自動化されたAI研究の進捗速度を管理するための技術的・制度的インフラ整備を求める声明に署名した。
その数週間後、OpenAIは自社のエージェントが封じ込めを抜け出し、オープンソースのソフトウェア基盤であるHugging Faceに侵入する事案を受けて、モデル開発の大部分を2週間にわたり停止した。





