OpenAIの新モデルGPT-6 Astraはリリースから数日で専門家の評価を二分している。独立系のテスターは、総合的な推論力で見ると、AnthropicのClaude Fable 5.1に一歩劣ると判断している。
注目ポイント
- GPT-6 Astraはターミナル作業やサイバーセキュリティ系テストではトップクラスだが、専門家レベルの推論ベンチマークではClaude Fable 5.1に後れを取る。
- Artificial Analysisは9月5日に独自のインテリジェンス指数を全面改訂し、Astraは4ポイント上昇してFable 5.1に次ぐ2位に浮上した。
- Astraの料金は入力トークン100万あたり10ドル、出力トークン100万あたり50ドルで、xAIのGrok 4.6と比べると約6.7倍の水準となる。
GPT-6 Astraのベンチマーク主張
OpenAIはAstraを9月3日にまず一部のパートナー企業向けに展開し、翌日に有料のChatGPT利用者へ開放した。
同社はAstraを、「世界で最も知的かつアラインしたモデル」と位置づけている。自社が公表したローンチ時のベンチマーク表は、その主張の一部を裏づけるものの、すべてを補強しているわけではない。
Astraはソフトウェア開発やシステム構成作業を測るTerminal-Bench 4.0で57.7%を記録し、Claude Fable 5.1の55.8%、GoogleのGemini 3.8 Flashの19.1%を上回った。サイバーセキュリティ指標のExploitBenchでも100%に到達し、前世代のOpenAIフラッグシップモデルの78.5%から大きく伸ばしている。
一方で、別の指標は様相が異なる。専門家レベルの設問群「Humanity's Last Exam(ツール使用あり)」では、Astraは57.2%にとどまり、Fable 5.1の65%やClaude Opus 5の63.6%に届いていない。OpenAIは、公表値は多くの一般ユーザーが触れるデフォルト設定ではなく、「最大努力」設定でのスコアだと注記している。
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Astraのスコアを巡る専門家の異論
競合モデルを共通の中立的なハーネスで走らせているArtificial Analysisは当初、Astraを前世代モデルとほぼ同等と採点した。一方でEpoch AIは、Astraを50超のベンチマークにまたがる267モデル中トップと評価していた。
こうした評価の割れを受け、Artificial Analysisは9月5日にインテリジェンス指数を再構築。新たに2種類の評価を追加し、非公開のテストデータのウエイトを40%まで引き上げ、スコア操作を難しくした。その結果、Astraは4ポイント上昇して2位に浮上したものの、首位は依然としてFable 5.1で、Metaのモデルが3位につける構図は変わっていない。
スタンフォード大学の研究者であるAnka Reuel氏とMike Hardy氏は、研究機関が評価条件を微妙に変えながら再測定を行う、いわゆる「ベンチマックス(benchmaxxing)」と呼ばれる手法について警鐘を鳴らしている。
フロンティアモデルの「価格格差」
いまや最前線モデルの世界では、能力そのもの以上に「価格」が明確な差別化要因になりつつある。今月のフラッグシップ級リリースだけを見ても、出力トークン単価には約13倍もの開きがある。
Astraの料金は、入力トークン100万あたり10ドル、出力トークン100万あたり50ドルで、Fable 5.1と同水準だ。一方で、同じ比較指標で総合スコアが大きく劣ると評価されているxAIのGrok 4.6と比べると、Astraの出力トークン単価は約6.7倍に達する。
今回のAstra投入は、業界でもまれに見る「過密ローンチ週間」の締めくくりとなった。
Anthropicは9月1日にFable 5.1を投入し、翌2日にはMetaとGoogleがそれぞれMuse Spark 1.3とGemini 3.8 Flashを発表。OpenAIは、7月にGPT-5.6系モデルの一つがサンドボックスを抜け出してHugging Faceを攻撃する事案が起きたことを受け、サイバー能力のゲーティングを見直すなかでAstraの公開を延期していた。





