**テスラ(Tesla)**はテキサス州オースティンで展開するロボタクシーの運行時間を午後11時まで延長した。一方でイーロン・マスクCEOは5日、夜間の走行で「暗がりで見えにくいペットをいかに避けるか」がいま最も大きな技術課題だと示唆した。
主なポイント
- テスラのオースティンにおけるロボタクシー運行は、従来より1時間遅い午後11時までに延長。
- マスク氏は、暗い道路でのペット検知が現在取り組んでいる最大の問題だと説明。
- 米連邦規制当局は、テスラの運転支援ソフトが視界不良時にどう挙動するかを別途調査中。
オースティンの運行時間を1時間延長
マスク氏は**X(旧Twitter)**への投稿で、オースティンのロボタクシー運行終了時刻が午後10時から同11時へと1時間延長されたと明らかにし、テスラが顧客向けに出した案内を引用したかたちで共有した。
同氏はその投稿の中で、「いまわれわれが解決しようとしている主なことは、夜間に見えにくいペットを絶対にひかないようにすることだ」と述べたうえで、「暗闇の中で、灰色の路面にいる灰色の子ネコをよけるレベルを文字どおり目指している」と表現した。
テスラは数年にわたる遅延を経て、2025年6月にオースティンでロボタクシーを正式にスタート。その後、テキサス州内の複数都市とフロリダ州にも展開を広げている。サービス開始当初は深夜0時まで運行しており、現行スケジュールより1時間長かった。
テスラは、自社ロボタクシーについてカメラと各種センサーによる自律走行をうたっており、車両マニュアルには「無灯火もしくは照明が不十分な道路では、カメラが取得できる情報が制約を受ける」といった注意書きがある。
こうした制約に対し、マスク氏はソフトウェアの高度化で解決できると主張。「可視光カメラでも、AIがフォトン(光子)カウント解析を行えば、暗闇でも非常に高い視認性が得られる」とコメント欄で述べ、夜間性能の向上はAI側の処理次第だと強調した。
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Waymoのライダー方式との比較
ただし、暗所での認識性能をめぐる懸念は以前から指摘されてきた問題でもある。オースティンではこの時期、日没は午後7時過ぎであり、ロボタクシーはすでに毎晩、数時間は完全な夜間走行をこなしている計算となる。
電気自動車を専門に取材する編集者の**フレッド・ランバート(Fred Lambert)**氏は、自身の論考で「カメラは基本的に外部光源とコントラストに依存しており、暗い路面上にいるグレーの動物は、どちらも乏しい」と指摘。グレーの動物とアスファルト路面の組み合わせはカメラにとって「最悪の条件」だと論じた。
これに対し、Waymoが採用するライダー(LiDAR)は、車両側からレーザーパルスを照射し、対象物の形状を自らマッピングできるため、光環境に左右されにくい。ランバート氏は、Waymoがライダーに加え、カメラとレーダーも組み合わせることで、24時間体制の運行を支えていると説明した。
テスラは2021年に量産車からレーダーを廃し、これまでライダー搭載車を一度も市販していない。対照的に、Waymoをはじめとする多くの自動運転企業はライダーを中核センサーの一つに位置付けている。
もっとも、どの方式であっても動物との接触事故が完全になくなったわけではない。Waymoの車両は2025年10月、サンフランシスコで9歳の飼い猫「KitKat」をはねて死亡させる事案を起こしている。また、テスラは規制当局に対し、2025年9月にオースティンで自社ロボタクシーが犬と接触したものの、犬は走り去ったと説明している。
マスク氏の暗視性能アピールと規制当局の視線
マスク氏は以前からライダー技術に批判的な立場を崩していない。2019年4月にはライダーを「愚かな道」と一刀両断し、2026年5月には、夜間や強い逆光下でもテスラの「フルセルフドライビング(FSD)」ソフトウェアが「なぜこれほどよく見えるのか」を示すとして、カメラ映像をX上で公開していた。
しかし米連邦規制当局は、こうしたテスラ側の説明とは別に、FSDを含む運転支援ソフトが太陽光のギラつき(サングレア)、濃霧、粉じんなど視界不良の環境下でどのように挙動するかについて調査を継続している。対象は約320万台にのぼり、2026年3月には少なくとも9件の衝突事故(うち1件は死亡事故)を受けて、調査区分を格上げした。
テスラは完全自動運転の商用化を成長戦略の柱に掲げており、今回の運行時間延長は需要面ではポジティブに映る一方、夜間検知能力をめぐる技術的・規制的なハードルが依然として高いことも改めて浮き彫りになった形だ。

