ビットコインのホリデー停滞がより大きな値動きの前兆となり得る理由

暗号資産市場は2025年末を控え、価格は横ばい推移で、オンチェーン活動も主要ネットワーク全体でクールダウンしている。

しかし、このホリデーシーズンの静けさの裏で、テクニカル指標やポジションデータは、 2026年初頭に向けて、市場が重要な分岐点に近づきつつある可能性を示唆している。

ビットコイン (BTC) と イーサリアム (ETH) は、季節要因による取引減少が出来高を圧迫するなか、直近のセッションではほぼ横ばいで推移している。

オンチェーンデータによると、多くのチェーンで活動が減速しており、暗号資産市場からの大規模な資金流出というより、むしろ「持ち合い・整理」を反映する動きとなっている。アナリストは、この環境が2026年第1四半期に向けた重要な相場構築を覆い隠している可能性があるとみている。

オンチェーン減速は投げ売りではなく「整理」を反映

ナンセン（Nansen） のシニアリサーチアナリストである ジェイク・ケニス（Jake Kennis） は、 Yellow.com に送付したノートで、12月末のアクティビティ後退は、市場構造の崩壊というよりは、年末の一服として説明できると指摘した。

彼は、アクティブアドレス数、トランザクション数、手数料収入といった指標が過去30日間で概ね横ばい圏にあり、Base のようなチェーンでは、年初からの力強い推移の後に、分散型取引所（DEX）出来高が目立って押し戻されていると述べた。

ソラナ (SOL) は、ユーザー活動がやや弱含むなかでも、オンチェーン取引量では依然としてトップの座を維持しており、 BNB チェーンが大きく水をあけられて続いている。

「全体として、取引活動が消えたわけではありません。年末に向けて、ただペースが落ち、より選別的になっているだけです」とケニス氏は語る。

こうした選別姿勢に、個人投資家の関与の鈍さが重なり、市場は静かながらも、方向感を完全に失ったわけではない状況だ。

ビットコインのテクニカルは「ばね仕掛け」の値動きを示唆

フェアリード・ストラテジーズ（Fairlead Strategies）のレポートによれば、ビットコインは上昇基調にある雲状のサポートライン（クラウド）のすぐ上、およそ8万4,400ドル近辺で狭いレンジの持ち合いを続けており、この水準はここ数週間でいっそう強固になっている。

フェアリードの分析では、短期的なリスク・リワードは良好な方向に傾いており、日足ベースのモメンタム指標も依然として強気シグナルを点灯している。

Also Read: AI Gave Crypto Scammers What They Always Needed: Authenticity At Scale 直近では、5万日移動平均線（50日線）にあたる約9万500ドルを明確に上抜ければ、短期的な上昇トリガーとなり、現在約10万9,000ドル近辺に位置する週足クラウド上限方向への上値余地が開ける可能性がある。

特にフェアリードは、ビットコインの週足 MACD ヒストグラムで中期的な下向きモメンタムが、売られ過ぎ局面を経て弱まりつつある点を強調した。過去には、このようなパターンが反発局面に先行して現れることが多かったという。

データは、長期モメンタムが中立圏にある一方で、ビットコインが「崩れつつある」というよりは「エネルギーを溜め込みつつある」状態に近いことを示している。

モメンタム回復ならイーサリアムやアルトも追随の可能性

フェアリードの分析は、暗号資産市場全体の水面下で起きている潜在的な変化も示唆している。

主要アルトコインの多くは、ビットコインと比較した相対パフォーマンスで依然「出遅れ」の象限にあるものの、下方向のモメンタムは和らぎつつあり、ビットコインが上昇に転じた場合には、アルトコインへの資金ローテーションが起きうる地合いだ。

なかでもイーサリアムは、リリーフラリー（戻り局面）においてビットコインをアウトパフォームしやすいポジションにあるとみられている。

ビットコイン対イーサリアムのレシオはここ数週間で横ばいとなっており、フェアリードは、同様のテクニカル環境が2024年末や2025年初頭にも中期的な上昇局面に先行して見られたと指摘した。

もっとも、アナリストはボラティリティの継続には注意が必要だと警告する。

フェアリードは、長期モメンタムの弱体化により、 2026年前半の相場は不安定になりやすく、後半にはクラウドの下抜けや、7万ドル近辺にあるビットコインの長期サポートを試す展開もあり得ると述べた。