米国のビットコイン現物型上場投資信託(ETF)に9月21日、合計9億9,900万ドル(約1,500億円規模)の資金が流入した。1日の純流入額としては約11カ月ぶりの高水準で、ビットコイン(BTC)は一時8万7,000ドル台まで上昇した。
主なポイント
- 9月21日のビットコイン現物ETFへの純流入額は9億9,895万ドルと、2025年10月6日以来の高水準。
- ビットコインは8万7,300ドル近辺まで上昇後、翌22日早朝には8万5,400ドル前後へ押し戻された。
- 強い買いは機関投資家の再参入と空売りの買い戻しが主因とされる一方、センチメント指標は過熱感を示している。
ビットコインETFに資金回帰
暗号資産データ企業SoSoValueによると、21日の米ビットコイン現物ETFの純流入額は9億9,895万ドルだった。銘柄別では、BlackRock(ブラックロック)の「IBIT」が3億8,140万ドルでトップ、続いてArk Invest(アーク・インベスト)と21Sharesが運用する「ARKB」が2億8,910万ドル、**Fidelity(フィデリティ)**の「FBTC」が2億3,880万ドルの流入となった。
これを上回る日次流入は、2025年10月6日の12億ドル以来となる。
ビットコインに続き、イーサリアムの現物型ETFも資金流入が膨らんだ。スポット型のイーサリアム(Ether, ETH) (ETH) ファンドへの流入は2億6,998万ドルと、2025年10月7日以来の高水準だった。
今回の買い越しは、月初から中旬にかけて続いた解約・流出からの反転でもある。9月15日には4億5,040万ドル、16日にも2億9,590万ドルの流出が発生していたが、21日は全てのビットコイン現物ETFが「ゼロではない」純流入を確保し、そろってプラスに転じた。なかでも**Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)**の「MSBT」は、6,170万ドルの過去最高の資金流入を記録した。
21日の動きにより、ビットコイン現物ETFの累計純流入額は約562億3,000万ドル、運用資産残高(AUM)は1,101億ドル近辺に達したとされる。
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上昇相場を支える要因
ビットコイン現物ETFへの買いが膨らむなか、ビットコインは21日に8万7,300ドル前後まで急伸し、2026年1月以来の高値を付けた。22日火曜の序盤取引では、8万5,400ドル近辺で推移している。
調査会社Presto Researchのリサーチアソシエイト、**Min Jung(ミン・ジョン)**氏は、この上昇は特定の単一材料に起因するものではないと指摘する。リスク資産全般への投資意欲の回復、ETFを通じた需要増加、そして空売りの買い戻しが複合的に作用したとの見方だ。
もっとも大きな打撃を受けたのはショート(売り持ち)勢だった。
デリバティブデータを提供するCoinGlassによると、過去24時間の暗号資産市場全体の清算(ロスカット)は10億6,000万ドルに上り、そのうち約8億4,400万ドルがショートポジションの強制決済だった。ViaBTCのチーフアナリスト、**Jeff Ko(ジェフ・コー)**氏は、上値を抑えていた8万2,000ドル前後のレジスタンスを明確に上抜けたことで、システマティックな売買戦略(CTAなど)が再び買いサイドに傾いた可能性を指摘する。
暗号資産取引所BTSEの最高執行責任者(COO)、**Jeff Mei(ジェフ・メイ)**氏は、マクロ環境の追い風を受けて機関投資家がビットコイン市場へ戻りつつあると述べる。具体的には、原油価格の下落、米国債利回りの低下、そして今週予定されている米中首脳会談への期待感が、リスク資産への資金回帰を後押ししているという。
調査会社Zeus Researchの**Dominick John(ドミニク・ジョン)**氏は、足元ではビットコインが8万5,000ドルを維持できるか、イーサリアムが2,700ドルを上回って推移できるかが市場参加者の注目ポイントだと話す。
ビットコイン市場心理の転換
投資家心理の過熱を示す指標も急速に切り替わっている。暗号資産市場のセンチメントを測る「Crypto Fear and Greed Index(恐怖・強欲指数)」は、9月21日に78まで跳ね上がり、1週間前の51から大きく上昇した。オンチェーン分析企業Santimentによれば、SNS上のビットコイン関連コメントは2024年12月以来、最も強気色が強くなっている。
デリバティブ市場では、オープン・インタレスト(建玉残高)が7.6%増加し、約1,560億ドル規模に拡大した。ポジション整理というより、レバレッジを積み増す動きが優勢だったことを示唆する。
もっとも、このような「一方向に傾いた」ポジション状況は、歴史的には新高値更新よりも、一時的な調整局面の前触れとなるケースが多い。
市場心理の転換は、ほんの数週間前からの急変でもある。ビットコインは6月末に一時6万ドル割れまで売られ、恐怖・強欲指数は8月6日に25まで低下していた。その後、価格は6万8,000ドルを下回る水準から8万ドル手前まで反発し、今回の急伸につながっている。とはいえ、今週の上昇を経ても、2025年10月の史上最高値12万6,198ドルにはなお大きな距離がある。
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