ビットコインの買いサイドの動きが、ここ約2年で最も強いシグナルを点灯させ、トレーダー心理の明確な転換と、市場の最新の回復局面にさらなる勢いを与えている。
主要なオンチェーン指標であるテイカーバイ・セルレシオ(taker buy-sell ratio)は、主要取引所全体で1.17まで急上昇し、2023年初頭以来の水準となった。この急騰は、マクロ流動性環境の顕著な改善と、米国大手ブローカーによる大規模な販売チャネル拡大と同時に起きている。
これらの要因の組み合わせは、広範な市場が依然としてマクロ面のストレスを抱えているにもかかわらず、ビットコインの現在のサイクルがまだ終盤とは言えない可能性を示唆している。
何が起きたのか
パーペチュアル先物における積極的な成行買いと成行売りのバランスを追跡するテイカーバイ・セルレシオは、CryptoQuantの新しいデータによれば、2023年1月以来初めて1.15を上回った。
この指標が1を上回るということは、トレーダーがビッドを叩くペースよりもオファーを持ち上げるペースの方が速いことを意味し、より強い買いサイドの主導権を反映している。
昨日の1.17という値は、現在の強気サイクルにおいて、1日ベースで最も買い手側に偏った値として記録された。
アナリストは通常、この種のオーダーフローの優位性を、流動性が引き締まる局面ではなく加速し始める、サイクル初期から中盤の拡大局面で観測する。
このスパイクはまた、Vanguardの大きな方針転換にも続いて発生した。同社は、以前はアクセスを制限していた米国の現物ビットコインETFの取引を、5,000万以上のブローカー口座に対して解禁した。
この変更によりETFの販売チャネルが広がり、IBITファンドのような商品への資金流入を後押しすると見込まれている。
同時に、世界の主要な流動性指標も、年内で最もタイトだった水準から反発し始めている。
FRBが追跡する米国の金融環境指数などの指標は、プレッシャーが和らぎつつあることを示しており、歴史的には数カ月単位のビットコイン上昇トレンドを支える環境となってきた。
なぜ重要なのか
流動性が転換点を迎える局面で買いサイドのオーダーフローが急増することは、機関投資家が市場に再参入しているサインとなることが多い。
2024〜2025年にかけてETFの採用拡大はビットコインの需要構造を大きく変えつつあり、大手ブローカーを通じたリテールアクセスの拡大は、この構造変化をさらに増幅すると期待されている。
流動性環境の改善は、リスク資産全般における強制的な売り圧力も和らげるため、投機的な市場が上方向のトレンドを形成しやすくなる。
過去のサイクルでは、ビットコインの最大級の上昇局面は、熱狂のピーク時ではなく、流動性が回復し始めた初期段階で始まることが多かった。
こうした背景から、現在のラリーはまだ終局に近いとは言えない可能性がある。 むしろ、ETFによる構造的な資金フロー、機関投資家の再参入、そして流動性の改善が続く限り、拡大基調が続くことを示唆している。
それでも、アナリストは世界的な脆弱性が残っていると警鐘を鳴らしている。
日本発の金融ストレスや、より広範な市場リスク指標の反転がまだ不十分であることから、システミックリスクが完全に払拭されたわけではない。
現時点では、買いサイドの確信は強まり、流動性は緩み始めており、ビットコインの市場構造は成熟しつつある強気サイクルの初期局面と整合的であり続けている。
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