湾岸協力会議(GCC)は、実物資産(RWA)のトークン化において、世界で最も野心的な地域の一つへと急速に変化している。
アブダビのMubadala Capitalはプライベート・マーケット・ファンドをトークン化し、サウジアラビアは世界初のソブリン・ネイティブな不動産権原書類のトークン化移転を完了し、カタールも不動産のトークン化を準備している。
だが、これらの取引の投資家に「実際に何を所有しているのか」と尋ねると、その答えは一貫しない。基礎資産に対する請求権なのか、それとも発行体の約束に対する請求権なのか。プラットフォームが停止した場合、所有権は存続するのか、それとも特定の企業が支払能力を維持していることに全面的に依存するのか。何か問題が起きたとき、最終的に誰が責任を負うのか。
実のところ、「トークン化資産」は一つの所有権セットを持つ単一の商品ではない。このラベルは、所有権構造の異なる13種類の金融商品に、無理やりかぶせられている状態だ。業界がパイロット段階から機関投資家レベルの採用へと移行する中で、ラベルと「トークン化」が実際に意味するものとのギャップを埋めることこそが、真の課題となりつつある。
トークン化資産の所有権はひとくくりにされている
トークンは、資産そのものを表すこともあれば、その資産に対する法的請求権を表すことも、単にその資産に関する他の機関の約束に対する請求権を表すこともある。これらは根本的に異なる所有形態だが、相互に代替可能であるかのように、あるいはさらに悪いことに、同一であるかのように語られることが日常茶飯事だ。
この区別が重要なのは、ブロックチェーンのソリューションだけでは全体像が見えないからだ。所有権はしばしば、オンチェーンには一切現れない法的契約、カストディアン、発行体、登記機関、裁判所などに依存している。プラットフォームが破綻したり、発行体が倒産したり、カストディアンが消えてしまった場合、そのトークンに付随していたはずの権利は、投資家が購入したと思い込んでいたものとはまったく違う姿を見せる可能性がある。
業界は「トークン化資産」という用語を、あたかも一つの商品を指すかのように使っているが、実際にはそうではない。たとえばRWA.xyzのダッシュボードで示されている「Real World Assets」カテゴリーには、少なくとも13種類の構造的に異なる金融商品が含まれており、その中にはまったく性質の異なるステーブルコインも入っている。
ステーブルコインを除くと、トークン化RWA市場の規模は360億ドル超だ。ステーブルコインを含めると、その数字は3400億ドルを上回る。RWA.xyzによれば、360億ドルの内訳は12カテゴリーに分かれる。米国財務省証券、コモディティ、資産担保クレジット、スペシャルティ・ファイナンス、非米国政府債、株式、アクティブ戦略、ベンチャーキャピタル、コーポレート・クレジット、分散クレジット、不動産、プライベート・エクイティだ。ステーブルコインはまったく別種の商品である。
ここで3つの例を挙げよう。第一に、Ondoが発行するトークン化された米国財務省証券。第二に、トークン化されたアイオワ州農地ファンド。第三に、ウォーホルのシルクスクリーン作品のトークン化シェア。これらはすべて同じブロックチェーン上に存在し、類似したインフラを通じて決済され、同じRWA市場の集計に現れている。
しかし、それ以外には共通点がほとんどない。一つはカストディアンが保有する有価証券に対する請求権であり、カストディアンは保有者にキャッシュフローを支払う義務を負う。農地ファンドは土地を保有し収益を分配するリミテッド・パートナーシップであり、アート作品は絵画を保有する有限責任会社(LLC)で、多数決で売却が決まるまで、保有者は有形のものを直接所有しない。
それぞれがまったく異なる商品であり、破綻の仕方(フェイル・モード)もまったく異なるにもかかわらず、すべてが「実物資産のトークン化」として一括りに数えられている。
所有権は複数の意味を持ちうる
所有権の問いに単一の答えはない。トークン化された商品は、法的な所有権移転のタイミングと、その変更を誰が検証・承認するかに基づき、実際には4つのカテゴリーに分かれる。
これらのグループは以下のとおりだ。
- 参照型(Referential) トークン:主にステーブルコインに用いられ、元帳上の残高を記録する一方で、経済的な決済は別の場所で行われる。通常は、発行体が償還に応じるときに完結する。
- 契約型(Contractual) トークン:法的契約によって定義される執行可能な権利を伴い、農地ファンドやウォーホルの例が示すように、完了は元帳ではなく裁判所のプロセスを通じて実現する。
- 権原型(Title) トークン:スイスのDLT法やドイツの電子証券制度のように、オンチェーンの元帳を真正な所有権登録簿と認めている法域で現れる。
- アトミック(Atomic) トークン:帳簿上のオペレーション自体が移転を完結させるタイプで、資産が他にどこにも存在しない場合に成立する。ビットコインやイーサはこのカテゴリーに属するが、実物資産には現実世界の法的基盤があるため、現時点でこのカテゴリに入る、あるいは入りうるRWAはほとんど存在しない。
実際、市場に出回っているトークン化RWAのほぼすべては、最初の2つのグループに属している。その価格付けやマーケティング、そして規制の枠組みまでもが、4つのタイプを相互に代替可能なものとして扱っているが、現実にはそうではない。
すでに顕在化している帰結
トークン化商品の呼び名と、その中身の実態との乖離は、理論上の問題ではない。すでに現実の損失を招いている。
2023年3月、シリコンバレー銀行が取り付け騒ぎの末に破綻した際、CircleはUSDC準備金のうち33億ドルが同行に保管されていたと公表した。数時間のうちにUSDCは約0.87ドルまで下落した。オンチェーンでは何も壊れていなかった。スマートコントラクトは通常どおり機能し、ブロックチェーンも設計されたとおりにトランザクション処理を続けていた。失敗したのは、商品を支えていたオフチェーンの依存関係だった。
多くの保有者は、自分が保有しているのはデジタル・ドルだと思い込んでいた。現実には、彼らが持っていたのは、商業銀行から準備金を回収できるかどうかというCircleの能力に価値が依存する請求権だった。
同じ原理は、トークン化されたクレジット、プライベート・エクイティ、不動産、インフラ全般にも当てはまる。あらゆる商品が、それぞれ異なる法的権利、カウンターパーティ、制度の組み合わせに依存しており、市場がストレスにさらされたとき、投資家が最終的に何を所有しているのかをそれらが決める。
GCCにとってなぜ重要か
GCCがパイロットから機関投資家スケールのトークン化へと進むにつれ、この問題は一段と重要になっている。
この地域は、デジタル資本市場で世界的なリーダーになることを目指している。政府系ファンドや金融機関は、トークン化されたファンド、不動産、その他の実物資産に多額の投資を行っている。しかし、多くの商品はいまだに、投資家が実際に何を所有しているのかを明確に伝えきれていない。
2つの商品がいずれも「トークン化不動産」と説明されているとしても、一方が直接的な法的権原を表し、もう一方が仲介機関によって管理される契約上の請求権にすぎないのであれば、その違いを投資家が知るのは「何か問題が起きてから」であってはならない。
何をすべきか
最も手早い解決策は、共通の語彙を持つことだ。開示から始めて、あらゆるトークン化商品はフロントページで、平易な言葉で3つの質問に答えるべきである。
- トークンが移転すると、何が変わるのか。
- その変更を実効性のあるものにするために、追加でどのような行為(もしあれば)が必要か。
- 誰がその移転を検証・承認する権限を持つのか。
MiCAやシンガポールのProject Guardianは、資産そのものだけでなく、「取引の完了がどこで行われるか」に基づき分類しようとしている点で、正しい方向性を示している。元帳上で決済が完結するトークンは、2つ先のシステムでのカウンターサインに依存するトークンとは、監督の対象として別物だ。
トークナイゼーションの爆発的な成長は今後も続くだろう。次のフェーズが機関投資家の信頼を得られるかどうかは、現在「実物資産」とひとまとめにされている13種類の商品が、明確な分類体系の中でどこに位置づけられるのかについて、業界がどこまで具体的に説明する意思を持てるかにかかっている。





