OpenAIは、独自設計の推論用チップ「Jalapeño(ハラペーニョ)」が700ワット条件のベンチマークで、NvidiaのGB300を2つの指標で上回ったと明らかにした。2026年後半の本格導入を見据え、AIサービスのコスト削減と応答時間の短縮につなげる考えだ。
主なポイント
- OpenAIによると、Jalapeñoはテスト環境で、電力当たりの処理性能(スループット)と応答速度の両面でNvidia GB300を上回った。
- 消費電力700ワットの推論チップとして設計されており、データセンターの電力コストを抑えつつ、高速にAIモデルを提供することを狙う。
- Jalapeñoは学習用途には対応しておらず、Nvidiaの新世代「Vera Rubin」との比較テストも行われていない。
OpenAIのベンチマーク結果
OpenAIは、カスタム設計のJalapeñoプロセッサーが、AIの「仕事量」を電力当たりで測定した指標と、応答を返すまでの速度の両面で、NvidiaのGB300を上回ったと説明した。
同社でチップ開発を統括する**リチャード・ホー(Richard Ho)**氏は、Jalapeñoは高いスループットと低レイテンシ(遅延)の両立を目指しており、顧客が「より低コストな推論」か「より高速な応答」かといったニーズに応じてモデルを選択できる余地が広がると語った。
JalapeñoはBroadcomと共同開発され、ホー氏によれば、700ワットという条件下で今回のベンチマーク結果を達成した。電力はデータセンター運営コストの中でも大きな比重を占める。
関連記事: RWA市場が48.7%急伸、その大半を牽引する「1トークン」の正体
Nvidiaとの位置づけ
もっとも、今回の比較には明確な制約がある。
テスト対象となったのはNvidiaのGB300であり、すでに出荷が始まっている新世代の「Vera Rubin」世代とは比較されていない。また、Jalapeñoは生成AIモデルの学習ではなく推論処理に特化して設計されており、用途そのものが異なる。Nvidiaは依然としてOpenAIにとって重要な供給パートナーであり続けている。
OpenAIは一部の推論ワークロード、とりわけ比較的小型のモデルに対してはCerebras Systemsの技術も活用している。一方で、ホー氏はJalapeñoはより大規模なモデルの推論を想定していると述べ、「当社は計算資源への需要が極めて大きい」と強調した。
公開テストでは、OpenAIの小型オープンソースモデルに加え、DeepSeekとMoonshot AIのモデルも使用された。Moonshot AIの大規模モデル「Kimi」では、Jalapeño側の優位性がよりはっきりと表れたという。
すでに第2世代チップの開発も大きく進展しており、今後数カ月以内にテープアウト(設計完了から製造工程への移行)が予定されている。さらに、OpenAIは第3世代チップについてもコンセプト段階の検討を開始した。
Jalapeñoは、OpenAIがBroadcomと共同で6月24日に発表した取り組みの延長線上にある。当時、両社は、OpenAIのモデルを活用することで、Jalapeñoの第1世代が設計開始からテープアウトまで9カ月で到達したと説明していた。

