ホルムズ海峡混乱が仮想通貨を二重直撃 原油急騰の次は利上げ懸念

ホルムズ海峡混乱が仮想通貨を二重直撃 原油急騰の次は利上げ懸念

ドナルド・トランプ米大統領は16日、ホルムズ海峡を通過する全貨物に対して前日に発表した「20%通行料」を撤回し、その代わりに湾岸諸国からの対米通商・投資案件を受け入れると表明した。一方で、イランに関連する船舶に対する事実上の封鎖措置は維持する。

注目ポイント

  • トランプ氏はホルムズ海峡の20%通行料を取り下げ、湾岸諸国からの通商・投資案件と引き換えにする方針へ転換。
  • イランの港湾に出入りする、もしくはイラン貨物を積んだ船舶に対する米国の封鎖は、米東部時間16日午後4時に発効。
  • ブレント原油は前日比9%超急騰、ビットコインは6万2,000ドル近辺まで下落し、米利上げ観測が一段と強まった。

「ホルムズ通行料」一転撤回

トランプ氏は、撤回方針をSNS上で明らかにした。中東各国首脳との協議を通じ、海峡通行料ではなく、湾岸諸国が米国内で行う通商・投資案件を引き出すことが得策との判断に傾いたとしている。

同氏は前日、米国がホルムズ海峡の「守護者」であると宣言し、同海峡を通過する全貨物価値の20%を「対価」として徴収すると打ち上げたばかりだった。今回の方針転換により、封鎖対象はイランの港に出入りする船舶や、イラン向け・イラン産の貨物を積んだ船舶に限定される。

米中央軍(CENTCOM)は声明で、ホルムズ周辺での封鎖措置の本格的な執行を16日午後4時(米東部時間)から開始すると説明。これは、米軍がイラン国内への空爆を3夜連続で実施した直後のタイミングとなった。イラン国営メディアによれば、南部のブーシェフル、バンダルアッバース、マフシャフル、アバダン周辺で爆発が確認されたという。

これに対し、イラン側の反応も素早かった。

イラン軍は、バーレーン、ヨルダン、クウェートに所在する米軍基地を攻撃したほか、ホルムズ通過を試みたタンカー3隻を標的にしたとされる。アッバス・アラグチ外相はX(旧ツイッター)で、「ホルムズ海峡の安全な通行を提供する者は、当然しかるべき対価を受け取るべきだ」とした上で、「20%という数字は『さすがにやり過ぎ』だ」とも投稿した。

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ビットコインと原油の反応

仮想通貨の代表格であるビットコイン (BTC)は16日、6万2,000ドル台までじり安となった。前日には6万4,000ドル台で上値を抑えられており、7月相場レンジの下限付近での推移が続く形だ。

一方、原油市場は地政学リスクを色濃く織り込んだ。15日のブレント原油先物は前日比9%超高の1バレル=83.30ドルで引け、米国債利回りとドル指数も上昇。安全資産への逃避と同時に、インフレ再燃を警戒した金利観測が動いた格好だ。

金利先物市場では、7月の米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ確率が約40%まで上昇。前日の約35%から一段と織り込みが進んだ。

海運大手ハパックロイドは、ホルムズ海峡を巡るトランプ構想について、「国際海域の通航に料金を課す発想自体が『根本的に誤り』であり、それを徴収するのがどの国であっても容認できない」と警鐘を鳴らした。

一方、Ethra Investの最高経営責任者(CEO)であるサイード・アル・マリ氏は、足元のビットコイン調整について、レバレッジをかけた強気筋のポジション解消が主因であり、「市場全体からの資金流出とは言い難い」と指摘する。同氏によれば、15日のロングポジションの強制ロスカットはショートの約6倍に上った。

世界のエネルギー動脈が136日封鎖

ホルムズ海峡は紛争前、世界の原油と天然ガスの約2割が通過する「エネルギー動脈」とされてきたが、封鎖措置の発動からすでに136日が経過し、実務上ほぼ閉鎖された状態が続く。

6月17日に署名された暫定合意は、一時的に緊張を和らげ、ガソリン価格の落ち着きとともにビットコイン相場を押し上げる要因となった。同通貨は6月末の安値圏である5万8,000ドル近辺から持ち直していた。しかし、先週になって商船攻撃が再燃したことで停戦は瓦解し、「平和シナリオ」に賭けたポジションは巻き戻しを余儀なくされている。

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