Bybit、北朝鮮とラザルス・グループを提訴  暗号資産窃取事件で盗難資産の凍結仮処分を獲得

Bybitが北朝鮮とラザルスを米DC地裁に提訴し、盗難暗号資産の凍結仮処分を獲得。 国際協調と民事手続きで過去最大級の暗号盗難に対抗。
3時間前
Bybit、北朝鮮とラザルス・グループを提訴  暗号資産窃取事件で盗難資産の凍結仮処分を獲得

北朝鮮とラザルス・グループが約15億ドル相当の暗号資産窃取を主導したと提訴。 米裁判所の資産凍結命令をテコに回収を進め、法執行機関や業界との連携を強化

Bybitは現地時間で本日、取引高ベースで世界第2位の暗号資産取引所として、 米コロンビア特別区連邦地方裁判所に対し、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)、 その情報機関である偵察総局(Reconnaissance General Bureau、RGB)、 そして米当局がDPRK関与と認定するハッカー集団「ラザルス・グループ」を 被告とする民事訴訟を提起したと発表した。訴えは、2025年2月に発生した 大規模サイバー攻撃に関するものだ。

Bybitは同時に、盗難資産を保有・移転していると見られる匿名の個人・法人 (訴状上「ジョン・ドウ(John Doe)」被告)を対象に、特定済みの盗難暗号資産を 凍結する仮差止命令(preliminary injunction)を獲得した。 この命令は、係争中の資産を保全しつつ、Bybitによる資金回収や 国際的な捜査支援、大規模サイバー犯罪に対する説明責任の強化に資する措置となる。 裁判所は決定の中で、Bybitの主張について 「本案で勝訴する蓋然性がある(Bybit has demonstrated a likelihood of success on the merits)」 と認定している。

今回の法的措置は、ブロックチェーン分析、国際協調、司法救済を組み合わせ、 裁判所が暫定的差止命令の付与時に「暗号資産史上最大級の窃取」と表現した 不正行為の責任追及を図る包括的戦略の一環となる。 刑事捜査そのものは各国当局の権限だが、民事手続きは資産保全や 被害を受けた利害関係者の権利保護に向けた重要な補完手段となる。

Bybit共同創業者兼CEOのベン・ジュー(Ben Zhou)氏は次のように述べている。

「私たちの優先順位は一貫しています。ユーザー保護を最優先とし、 回収可能な資産を取り戻し、攻撃の首謀者に責任を取らせることです。 ラザルスによる攻撃はBybitだけを狙ったものではなく、 暗号資産業界全体への“信頼”への攻撃でした。 だからこそ、私たちは捜査当局、他の取引所、規制当局、そして法執行機関と密に連携し、 いまは裁判所とも協力しています。 この取り組みが、暗号資産を犯罪者にとってははるかに活動しづらい場所に、 そしてそれ以外のすべての人々にとってはより安全な場所にする 一歩となることを願っています。」

法的措置を通じた説明責任の強化

今回の仮差止命令により、係争対象とされた資産の移転や毀損は、 訴訟が継続する間は禁止される。Bybitは今後、訴訟の進行に応じて さらなる司法救済も求めていく方針だ。

この民事訴訟は、米国の法執行当局が進める刑事捜査とは独立して進められている。 Bybitは、FBIを含む関係機関と連携し、ブロックチェーン上のインテリジェンスや 調査結果を共有することで、より広範な取締りの強化に貢献している。

暗号資産が高度な国際的サイバー犯罪の標的として存在感を増すなか、 Bybitは刑事摘発に加えて、民事上の法的救済も、回収可能な資産の保全と 説明責任の強化において重要な役割を果たすと考えている。

グローバルな連携による資産回収の加速

2025年2月のインシデント発生以降、Bybitはブロックチェーン分析企業、 他の暗号資産取引所、カストディアン、各国の法執行機関と連携し、 盗難資産の追跡およびマネーロンダリングネットワークの撹乱を進めてきた。

これまでの主な成果は以下の通り。

  • 約4,840万米ドル相当の盗難資産をすでに回収。
  • さらなる法的手続きおよび捜査を待つ形で、28を超える取引所・カストディアン上で 約3,050万米ドル相当が凍結。

こうした取り組みは、盗難資金の洗浄に用いられたとされるインフラに対する 一連の強制措置も後押しした。ドイツ当局は暗号資産取引所eXchを摘発・閉鎖し、 その後、ドイツおよびスイス当局はミキシングサービスCryptomixer.ioを停止させ、 不正資金の移転に利用されていた主要な経路を遮断した。 これらの事例は、民間セクターと法執行当局が連携することで、 国境を越えるサイバー犯罪に実効的な打撃を与え得ることを示している。

ベン氏はさらに次のように続けた。

「本当の試練は、危機が去った後に訪れます。 そのときこそ、コミットメントが本物かどうかが問われるのです。 私たちにとってそれは、セキュリティ体制を一層強化し、 捜査当局や業界パートナーと並走しながら、 ユーザー保護のためにやれることはすべてやる、という意味です。 信頼は、口で言うだけで得られるものではありません。 毎日、一つひとつの行動を通じて積み重ねていくものなのです。」

より強靭なデジタル資産エコシステムへ

今回の訴訟は、暗号資産業界全体のセキュリティ標準向上に向けた Bybitの広範なコミットメントの一要素にすぎない。 同社は高度なブロックチェーンインテリジェンスへの投資を続けるとともに、 他の取引所や規制当局との協力を一層深め、 デジタル資産の窃取行為を犯罪組織にとって ますます困難かつ追跡可能で、コストの高い行為とするための 取り組みを支援している。

国家支援を受けたとされる脅威アクターに対しても説明責任を問う姿勢を明確にし、 民事訴訟と、法執行機関との連携を通じた刑事的アプローチの双方を駆使して、 デジタル資産業界を狙うサイバー犯罪の撲滅を図ることが、 Bybitの今回の行動に込められた狙いだ。

民事手続きは現在も継続中であり、 Bybitは関係当局との協力を継続するとともに、 裁判所が認める範囲で適宜情報を開示していくとしている。

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