暗号資産ビットコイン(BTC)(BTC)の大量保有で知られるStrategyが、保有コインをさらに売却することなく、米ドル建ての手元資金を30億ドルまで積み増した。追加の大口売り出し観測がくすぶるなか、当面の売却リスク後退につながった格好だ。
重要ポイント
- Strategyは普通株のアット・ザ・マーケット(ATM)増資を通じて4億5,000万ドルを調達し、ドル建てキャッシュポジションを拡大。
- 同社は依然として84万3,775BTCを保有しており、ビットコイン価格が約6万3,000ドルの場合、その評価額は約530億ドルに達する。
- 厚みを増した現金クッションにより、優先株配当などの支払いに向けた短期的なビットコイン売却ニーズは低下するとみられる。
現金準備の拡大
共同創業者でエグゼクティブ・チェアマンのマイケル・セイラー氏は8日、Xへの投稿で、普通株のATM増資により新たに4億5,000万ドルを調達し、ドル建てリザーブを25億5,000万ドルから30億ドルへ引き上げたと明らかにした。
同社は今回、新規のビットコイン購入を発表していない。一方で、先週実施した大口売却が市場を動揺させたばかりだったが、その後の追加売却も見送った形となる。
Strategyのビットコイン保有残高は84万3,775BTCで変わらず、ビットコイン価格が6万3,000ドル近辺で推移した場合の評価額は530億ドル強。今回の現金積み増しにより、今後の配当水準やその他の支払義務にもよるものの、数年分の優先株配当をカバーし得る資金的余裕を確保した格好だ。
発表に先立ち、セイラー氏はXに意味深長な投稿を行っており、過去に同様のメッセージがビットコインの追加購入に先行してきた経緯から、市場の注目を集めていた。だが今回は、暗号資産エクスポージャーの拡大ではなく、株式発行を通じてキャッシュポジションの強化を優先した。
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ビットコイン価格への影響
今回の調達により、Strategyは優先株の配当やその他の支払い原資として、直ちにビットコイン準備を取り崩さずとも済む可能性が高まった。短期的な売却圧力は一服したとの見方が出る一方で、普通株の追加発行が続けば、既存株主の持分希薄化という別の懸念は残される。
同社は先週、3,588BTCを約2億1,600万ドルで売却しており、これが同社としては過去最大のビットコイン売却となった。この売却により保有残高は現在の水準まで減少している。開示直後、ビットコイン価格は一時数千ドル幅で下落したものの、その後持ち直した。一方、MSTR株は100ドル超まで上昇したのち、利益確定売りに押され上げ幅を失った。
同社が発行する優先証券の一つであるSTRCは、75ドル割れの水準から反発し、週末の金曜日には87ドル超で取引を終えた。より厚くなったドル建てバッファーを投資家が評価し、将来の配当支払いへの信認が一定程度高まったことをうかがわせる値動きだ。
Strategyは2020年から企業財務としてのビットコイントレジャリー構築を開始し、その後は社債、普通株、優先証券など多様な手段で調達した資金を投じてきた。
しかし今回の方針転換は、ビットコイン市況の弱含みや継続的な配当負担、希薄化リスクへの警戒などを背景に、同社の財務モデルが「ビットコイン買い増し」中心から「現金管理重視」へと比重を移しつつあることを印象づけるものとなっている。





