要点
ビットコイン(BTC)は一時8万1,000ドル台を突破した後、8万~8万1,250ドルのレジスタンスゾーンで上値を抑えられ、足元では高値圏でのもみ合いが続いている。
アナリストらは、現物ETFへの資金流入、金利低下、ドル安、空売りの買い戻しが今回の上昇を押し上げたと分析する。
ここから先は、機関投資家のマネー流入が持続するかに加え、ジャクソンホール会合でケビン・ウォーシュFRB議長がタカ派色の強いメッセージを避けられるかどうかが試金石となる。
足元の急反発はレバレッジ一辺倒ではなく、規制下にあるETFへの資金流入とマクロ要因の一服が背景にあり、テクニカル的にはポジションの過熱感から8万~8万5,000ドル近辺では利益確定売りが出やすい地合いとなっている。
ビットコインは現在7万8,700ドル近辺で推移しており、24時間比で0.6%安。午前中には一時8万1,000ドルを上回る場面もあった。
ビットコイン急騰、一服はレジスタンス接近で
今回の押し目は、年内でも有数の強い週次上昇の後に訪れている。SoSoValueによると、米国の現物ビットコインETFは直近1週間で約19億ドルの純流入超となり、現物イーサリアムETFにも6億9,720万ドルが流入した。
合計約26億ドルの流入は、両カテゴリー合算で2025年10月以来となる最大の週次流入額だ。
マクロ環境も追い風となった。米財務省は、10~20年および20~30年の長期国債を対象とした流動性支援目的の買い戻し(バイバック)規模を少なくとも倍増させると表明。9月9日から、1回当たりの規模を20億ドルから少なくとも40億ドルに拡大する。
これにより長期ゾーンの金利上昇圧力が和らぎ、「通貨価値の希薄化(デベースメント)トレード」と呼ばれる投資テーマが再燃した。これは、法定通貨の購買力や財政の持続性に対する信認が揺らぐ局面で、ビットコインのような希少性の高い資産への資金シフトが強まるという市場ストーリーだ。
オンライン証券Capital.comのシニアマーケットアナリスト、ダニエラ・ハソーン氏はYellow.comへのノートで、ビットコインは前週の6万5,000ドル割れからの「異例の急伸」を経て、足元では7万9,000ドル近辺で値固めを図っていると指摘する。
「今回の上昇は、機関投資家による需要の再燃に、ドル安や金利低下、そして財務省による長期国債バイバック増額をきっかけとしたデベースメントトレードへの関心復活が重なったことで支えられています」と同氏は述べる。
そのうえで、テクニカル面では依然として上昇基調が維持されているものの、ビットコインの足元の水準にはやや過熱感も出てきたと警鐘を鳴らす。
「直近の上値抵抗帯は8万~8万1,250ドルで、この水準ではすでに売り圧力が確認されています。ここを明確に上抜ければ、次の一段高のシナリオが強まります。一方、7万8,000ドルが当面の重要なサポートです」とハソーン氏。
この水準を割り込めば、7万5,000~7万7,000ドル方向へ調整が深まる可能性があるという。
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ETF需要が相場の“品質”を左右
いまや、上昇率そのものと同じくらい重要になっているのが「誰が買っているのか」という点だ。
これまでの上昇局面では空売りの買い戻しが相場を押し上げたが、足元では新たなETFマネーの流入により、レバレッジ頼みではない比較的粘り強い買い手層が規制商品を通じて市場に参入していると指摘されている。
Sygnum Bankの投資ストラテジスト、カン=ルカ・コイメン氏によると、直近5セッションで現物ビットコインETFには約19億ドル、イーサリアム関連商品には約6億9,700万ドルが流入したという。
「今回の動きは、上昇幅と同じくらい、その“中身”が示唆的です。周辺的な新規買い手(マージナルバイヤー)は、レバレッジではなく、規制商品を通じて市場入りしているのです」とコイメン氏は語る。
これは、先物主導のショートスクイーズと比べ、ETF経由の需要の方が持続性を持ちやすいからだ。レバレッジ主導の急騰は、強制的な買いが一巡すると反動安を招きやすい一方、ETFへの資金流入は運用担当者やアドバイザー、機関投資家が規制されたラッパー(投資枠組み)を通じてエクスポージャーを積み増していることを反映する。
「ここからの焦点は、今回のマクロ要因が一服した後も、これらの流入が続くかどうかです」と同氏は述べ、ETFフローは現在、機関投資家による持続的な需要をリアルタイムで映し出す、最も分かりやすい指標の一つになっていると付け加える。
ジャクソンホールがマクロの“試練”
市場が次に直面する大きなリスクイベントが、ジャクソンホールでの経済政策シンポジウムだ。FRBの公式スケジュールによれば、2026年8月28日のジャクソンホール会合で、ウォーシュ議長が基調講演を行う予定となっている。
ビットコイン相場は、追加利上げ観測の後退を追い風としてきたが、ウォーシュ氏がインフレリスクを強調するようなら、こうした前提は崩れかねない。
ロイター通信は、投資家が同氏の金融政策運営のスタンスに関する手がかりを求めていると報じており、国債買い戻しやインフレ懸念が金利見通しを複雑にしていると伝えた。
ハソーン氏は、追加利上げを当面先送りするような「バランスの取れた」メッセージであれば、米金利とドルに下押し圧力がかかり、ビットコインにとっては追い風になり得ると指摘。一方で、タカ派色の強いトーンとなれば、すでにポジションが過熱している中で相場の逆風となる可能性が高いとみる。
Algoz Technologiesで戦略・収益部門を統括するスティーブン・ウンドク氏は、ビットコインが前週に20%上昇したのは「想定外ではなかった」と話す。
その理由として、取引所在庫が過去最低水準近辺まで減少する一方、政策面でのポジティブなシグナルがショートスクイーズを誘発しやすい環境をつくっていたことを挙げた。
「ビットコイン価格が8万2,000~8万5,000ドルのゾーンを一気に抜けるのは簡単ではない」としつつも、「多くの保有者が含み損から解放されており、売り急ぐインセンティブは以前より小さくなっている」とも述べる。
オプション市場でも強気バイアスの強まりが見て取れる。ウンドク氏によれば、1週間余り前に300ドル近辺で取引されていた12月限ビットコイン10万ドルコールは、足元で3,000ドル近くまで上昇した。
「トレーダーは向こう数週間で約16%の上昇を織り込む形でオプションポジションを構築しています」と同氏は指摘する。





