OpenAIは、音声認識モデル「GPT Transcribe」と「GPT Live Transcribe」を開発者向けに公開し、ファイル文字起こし料金を25%引き下げた。同社によると、独立系ベンチマークで単語誤り率(WER)3.31%を記録したという。
主なポイント
- GPT TranscribeはAA-WER指標で単語誤り率3.31%を記録し、追跡対象システムの中で9位につけた。
- ファイル文字起こし料金は1分当たり0.0045ドルと、GPT-4o Transcribe比で25%低い水準に。ストリーミングは1分当たり0.017ドル。
- 両モデルとも、テキストによる文脈情報、キーワードリスト、言語ヒントを受け取り、雑音が多い音声でも精度を高められる設計となっている。
OpenAIの文字起こしモデルがAPIに登場
同社は7月28日、開発者プラットフォームを通じて両モデルを公開し、モデル仕様ページのほか、文字起こしガイドを全面改訂。全エンドポイント向けのコードサンプルも用意した。GPT Transcribeは完了済みの音声ファイルやバッチ処理向けで、実時間の約34倍の速度で処理する。アーカイブ用途には十分な速さだが、市場で最速クラスのサービスと比べると見劣りする。
一方のGPT Live Transcribeはリアルタイム用途を担い、話者が話している最中からオープンな接続経由で文字起こし結果をストリーミング出力する。開発者はレイテンシー(遅延)と文字起こし結果の安定性のバランスを調整できる設計で、Microsoftはすでに自社のFoundryプラットフォーム内で両モデルを掲載している。
2モデルはいずれも、録音内容の簡潔なテキスト説明、固有名詞や専門用語を含むキーワードリスト、想定される使用言語のヒントを受け付ける。このコンテキスト情報を追加したところ、OpenAI社内ベンチマークでの意味理解の精度は41.6%から45.2%へと向上したという。ファイル向けモデルは音声1分当たり0.0045ドルで課金され、前世代比で約4分の3の価格に抑えられた。ストリーミング版はセッションのオープン時間1分ごとに0.017ドルとなる。
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ベンチマークでGPT Transcribeは9位にとどまる
リサーチ企業Artificial Analysisは、GPT TranscribeをAA-WER指標で検証し、単語誤り率3.31%と評価。現在追跡している約50の音声認識システムの中で9位となった。GPT-4o Transcribeに比べて0.7ポイント改善したものの、難易度の高い素材では課題を残し、決算説明会音声では6.10%と、誤り率が大きく悪化した。
また、多言語データセット「Common Voice」の22言語での評価では、OpenAIは19.27%の誤り率となり、40.37%を記録したWhisperよりは改善したものの、最上位には届いていない。精度ランキングの首位はAlibabaで1.8%。これにElevenLabs、Google、Mistralが続き、いずれも2.2〜2.9%のレンジに収まっている。今回のローンチを検証したあるレビューでは、同一のベンチマーク指標は各社モデルに有利に働きやすいと警鐘を鳴らし、きれいな音源では3%台に収まったGPT-4oベースのモデルも、決算説明会のような雑多な音声では一気に精度が崩れたと指摘している。
Whisper以降のOpenAI音声モデルの展開
今回の発表は、OpenAIの音声関連プロダクトが相次いだ1年の集大成でもある。オープンモデルとして2022年に登場したWhisperは、その低コストと扱いやすさから、ポッドキャスト、コールセンター、ニュース編集室、研究アーカイブなど、世界中で文字起こしの事実上の標準として広く採用されてきた。
2025年にはGPT-4o Transcribeが1分当たり0.006ドルで登場し、さらに価格を半分に抑えた小型版も投入された。今年5月には、同社は翻訳モデルやリアルタイム対応の「GPT-Realtime-Whisper」と並べて「GPT-Realtime-2」を投入し、ライブストリーミング処理を今回の新モデルと同じ1分当たり0.017ドルで提供してきた。
もっとも、競合各社もこの間に値下げ攻勢を強めており、Mistralは現在、1分当たり0.003ドルからと、OpenAIを下回る価格水準を打ち出している。





