UAEの大手通信事業者e**&**は、Al Maryah Community Bankと覚書を締結し、同国初の中央銀行ライセンス取得ディルハム連動ステーブルコインであるAE Coinを、デジタルサービス全般の支払い手段として試験導入することになりました。
この実証実験により、利用者は規制対象のデジタルトークンを用いて、携帯電話およびホームサービスの料金、プリペイド/ポストペイドのチャージ、さらにe&の各種プラットフォーム上での取引代金を支払うことが可能になります。
この取り組みは、ブロックチェーンベースの決済を一般消費者向けインフラに組み込もうとするUAEにおいて、最も目に見える動きの一つとなります。
何が起きたのか
e&グループCEOのHatem Dowidar氏は、コメントの中で、このステーブルコインが「即時決済、完全な透明性、そして摩擦のないアクセス」を顧客に提供すると述べました。
通信事業者のe&は、モバイルアプリやセルフサービスキオスクなど、既存の決済インフラへAE Coinを統合する計画です。
これにより、数百万人のUAE居住者に対し、従来のカード決済や銀行振込に代わる新たな選択肢が提供されることになります。
Al Maryah Community BankのCEOであるMohammed Wassim Khayata氏は、この協業により、ライセンスを受けたバーチャル資産の実社会でのユースケースが拡大すると述べています。
AED Stablecoin LLCのゼネラルマネージャーであるRamez Rafeek氏は、この合意を、政府承認済みのデジタルトークンを基盤的な消費者向けサービスに導入するうえでのマイルストーンだと評しました。
AE Coinは、中央銀行のPayment Token Services Regulation(決済トークンサービス規制)枠組みのもとで、最初期に原則承認を取得した事業体の一つです。
このステーブルコインはUAEディルハムとの1:1ペッグを維持しており、国内に保有される準備資産によって完全に裏付けられています。
もっとも、この覚書は実施に向けた「意向表明」であり、本格導入が確定したわけではないため、タイムラインや展開範囲はまだ明確になっていません。
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なぜ重要なのか
この実証実験により、規制済みステーブルコインがUAEで最も利用されている消費者向けエコシステムの一つに組み込まれ、数百万人規模の利用者がデジタル資産決済に触れる可能性があります。
プリペイドのチャージやポストペイド請求といった高頻度の少額取引は、取引量や信頼性を即座に検証するための実験台となります。
この取り組みは、UAEが掲げるデジタル経済戦略や、中央銀行の監督下で進められるキャッシュレス社会への移行とも整合しています。
大手通信ネットワークにおいて、完全ライセンス取得済みステーブルコインを利用することは、ブロックチェーン技術を管理された形でイノベーションに活用していこうとする規制当局の姿勢を示すものです。
成功すれば、このモデルは、利用者が従来どおりの一般的な消費者向けインターフェースを使いながらも、規制対象トークンが日常的な金融活動をどのように支えるかを示す事例となり得ます。
e&のフィンテック部門はこれとは別に、Crypto.comとの提携を発表し、規制当局の承認を条件としてカストディ、流動性、決済インテグレーションの検討を進めています。
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