米国の現物 ビットコイン (BTC) 上場投資信託(ETF)から、直近2週間で合計約9億1,000万ドルの資金が流出した。予想を上回るインフレ指標と、ビットコイン価格が一時的に8万ドルを割り込んだことが需要を押し下げた格好だ。
主なポイント
- 現物ビットコインETFは、前週の6億8,110万ドル流出に続き、今週も2億2,860万ドルの純流出。
- 9月の前年比インフレ率3.7%という「強い」指標発表日に今週最悪の取引日となり、ビットコインは一時8万ドル割れ。
- 10月単月では約6億1,500万ドルの純流出だが、2024年1月のローンチ以降の累計では約570億ドルの純流入を維持。
ビットコインETFからの資金流出
データプロバイダー SoSoValue によれば、10月16日までの5営業日で、米現物ビットコインETFは純額で2億2,860万ドルの資金流出となった。前週の6億8,110万ドル流出に続き、2週連続で大幅な資金が引き揚げられている。
今週2番目に悪いパフォーマンスとなった金曜日には、ブラックロック(BlackRock) の iShares Bitcoin Trust が、1日あたりの流出額8,240万ドルのうち7,180万ドルを占めた。残る1,060万ドルは フィデリティ(Fidelity) のビットコインETFからの資金流出だった。
5営業日のうち3日で解約(償還)が設定(新規資金流入)を上回った。週明け月曜日には6,540万ドルの流出となったが、火曜日には一転して1億7,560万ドルの流入が入り、いったん下げ止まりの様相も見せた。もっとも、その反発は長続きせず、水曜日には再び約2億6,100万ドルの解約が発生した。
ちょうどこの水曜日に公表された9月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+3.7%と市場予想の+3.6%を上回る「インフレ高止まり」を示した。木曜日にはようやく5,100万ドルの小幅な純流入に転じたものの、週トータルでは資金流出が優勢となった。
木曜日、ビットコインは一時8万ドルを割り込み、およそ7万9,800ドル近辺まで下落した。この24時間で、レバレッジをかけた暗号資産ポジションが約9億5,000万ドル分ロスカット(強制清算)されたと、デリバティブ分析サイト CoinGlass は伝えている。そのうち約9割が強気(ロング)ポジションだった。
一方、現物 イーサリアム (ETH) ETFの動きはビットコイン以上に厳しい。ブラックロックのイーサリアム信託からの解約が中心となり、この1週間で約3億2,000万ドルが流出。売りが続くのは3週連続となっている。
関連記事: ChatGPT がテストで Claude Haiku 5.5 を上回るも、個別助言の精度で劣後
ETF投資家の取得コストを下回る水準に
今回の下落で、ビットコイン価格はETF投資家の平均取得コストを下回った可能性が高い。
暗号資産レンディング大手 Nexo のアナリスト、Iliya Kalchev 氏によると、ビットコイン価格はETF投資家の推定平均コストである約8万2,300ドルを割り込んだという。オンチェーン分析の Glassnode は、平均取得コストをそれよりやや低い8万1,500ドル近辺と試算している。
日曜日時点のビットコインは約8万1,200ドルで推移しており、いずれの推定コスト水準も下回っている計算だ。結果として、多くのETF投資家は足元で含み損状態にあるとみられる。
金利とインフレ、ビットコインの逆風強まる
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に政策金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標を3.75〜4.0%に引き上げている。今回の「インフレの強さ」を示すデータは、追加利上げ観測を再燃させる内容だ。
利上げは米国債利回りを押し上げ、ほぼ「無リスク」で5%近い利回りを投資家に提供する。これは無利子資産であるビットコインにとって、相対的な投資妙味を削ぐ要因となる。また、ドル高を通じてリスク資産全般への逆風となるほか、信用コスト(調達金利)の上昇を通じてレバレッジをかけるトレーダーの運用環境も一段と厳しくする。
それでも、ビットコインETFの週間出来高は75億ドル超に達しており、ポジションを落としながらも投資家の取引活動自体は活発だ。運用残高(純資産総額)は依然として約1,043億ドル規模に上る。
ETFフローの振れ幅
現物ビットコインETFは10月入り直後こそ約2億9,300万ドルの純流入でスタートしたが、その後は軟調に転じ、足元では月間ベースで約6億1,500万ドルの純流出となっている。8月の約35億ドル、9月の約26億ドルの純流入からは、流れが鮮明に逆転した格好だ。
きっかけとなったのは、10月7日に記録した4億8,490万ドルの資金流出で、これは6月以来最悪の1日となった。ただし、1月の取引開始以降の累計では、依然として約570億ドルの純流入を維持しており、今回の調整局面は長期トレンドから見れば限定的な規模にとどまっている。

