Axis Robotics、物理AI向けFrankaアーム用シミュレーションとして最大級の オープンデータセットを公開

Axis RoboticsがFrankaアーム向け大規模シミュレーション「Axis Sim Dataset V1」を公開。 ノイズを含む群集データでロボット政策学習の新アプローチを検証。
8時間前
Axis Robotics、物理AI向けFrankaアーム用シミュレーションとして最大級の オープンデータセットを公開

Axis Roboticsは、Frankaアームによるマニピュレーション向けとして世界最大級の オープンソース・シミュレーションデータセット Axis Sim Dataset V1 を公開した。 フルデータセットに加え、学習コードやベンチマークもすべて一般公開されている。

V1は、シミュレートされたFranka Research 3アームを用い、207種類のマニピュレーションタスク、 6万超のシーンバリエーションにわたり、5万本超の人間によるテレオペレーション軌跡から構成される。

このデータセットはHugging Face上で16万回超ダウンロードされており、 Franka操作のオープンソース・シミュレーションデータとしては最多ダウンロードを記録。 ベンチマークでは、V1を用いた継続事前学習によりπ0.5が向上し、 体積を揃えたRoboCasaベースラインを上回る性能を示した。 結果はすべて公開され、第三者が検証可能となっている。

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Axis Roboticsは、物理AIに特化した「複利型データエンジン」の構築を掲げる。 大規模シミュレーション、エゴセントリックな実世界データ取得、 ヒューマノイドの歩行・操作(loco-manipulation)、 そして人間によるDAggerポストトレーニングを垂直統合したシステムだ。 同社はHack VCがリードし、Nomad Capital、Pi Network Ventures、10K Venturesや エンジェル投資家が参加するシードラウンドで1,200万ドルを調達している。

「クリーンデータ偏重」への逆張り

ロボティクスでは一般に、模倣学習の前提として 「デモンストレーションは初期から高い最適性を満たしているべきだ」 との考え方が支配的だ。エキスパート軌跡だけを抽出し、セットアップを標準化し、 ノイズを含むデータは事前に捨てる――といった発想である。

これに対しAxisの仮説は正反対だ。データ品質は「単一軌跡」ではなく 「分布」で決まるというものだ。十分に大規模で多様な群集が ノイズを含むサブオプティマルな軌跡を生成しても、 その誤差が互いに相関していなければノイズは平均化され、 学習を通じて有効なポリシーが残る、という立場だ。

Axis Sim Dataset V1は、この仮説を公開の場で検証するためのものでもある。 軌跡にはピッキング&プレース、積み上げ、液体注ぎ、 可動オブジェクトの操作、ツール使用などが含まれ、 いずれもAxisのブラウザベースのテレオペレーション基盤「Axis Hub」を通じて、 限られたエキスパートチームではなく分散した群集から収集された。 データセットの構築には、UCバークレー、ジョンズ・ホプキンス大学、 ミシガン大学などの研究者も協力している。

スケールする成果

タスクスイートLIBERO-Plus上の検証では、V1を用いた継続事前学習により、 π0.5の成功率は83.9%から88.8%へと上昇。 同一ボリュームのRoboCasa365ベースライン比で37.3%上回った。 性能は、V1データの利用率を25%から100%まで増やすにつれて一貫して向上し、 サチュレーションは見られていない。 これは、一時的なゲインではなく、多様性とカバレッジの拡大が 性能向上の源泉であることを示唆する。 特に、カメラ、センサーノイズ、レイアウトの摂動といった、 まさにAxisが生成過程でランダマイズしている軸で最大の改善が確認された。

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チームによれば、すでにV2の開発も進行中で、 120万軌跡、1,200タスク規模への拡張を予定。 複数エンボディメント間での汎化と、複数のVLAモデルにまたがる結果を通じて、 サブオプティマルなシミュレーションデータがロバストなポリシーを学習可能であることを 実証する構えだ。

データセットを支えるエンジン

V1は、より大きな「複利型データエンジン」から生まれた成果の一部にすぎない。 従来型のデータベンダーが、あらかじめ定義した仕様に沿って収集を終えるのに対し、 Axisはモデル性能と失敗ケースを起点に 「次に何を集めるべきか」を決め、各学習ラウンドを次ラウンドの設計に反映させる。 このエンジンは4つのデータラインを組み合わせたハイブリッド戦略で動いており、 いずれもすでにスケールしている。

シミュレーション: Baseチェーン上のトップ3 dAppの一つとなったAxis Hubを通じ、 20万超の分散コントリビューターが参加。 13種類のエンボディメントにわたり、470万本超の軌跡を生成。

エゴセントリック: 品質管理訓練を受けた1,000人超のフルタイム収集者ネットワークが、 実在する住宅や事業所での一人称視点の行動データを取得。 14業種にまたがる20万時間超を既に蓄積しており、 1日あたり4,000時間超のペースで増加中。 手指ポーズはViconで検証されている。

Loco-manipulation: Unitree G1やBooster T2といった実機ヒューマノイドを用い、 ハードウェア非依存のテレオペレーションにより、 移動と巧緻動作を組み合わせた500時間超のデータを蓄積。

Human-gated DAggerポストトレーニング: 本番展開時のエッジケースを対象に、 人間がループ内で修正を行うDAgger手法で500時間超を確保。

すべてのタスクと軌跡は、出自を明確にするためBaseチェーン上に記録され、 コントリビューターは品質が検証された分だけ報酬を受け取る仕組みだ。

オープンデータから商用展開へ

Axisはシミュレーションデータのオープンソース化にとどまらず、 ロボットエンボディメント企業と直接組み、個別エンボディメントに最適化した データパイプラインとモデルプライアを構築している。

Booster Roboticsにとっての初のシミュレーションデータパートナーとして、 Axisは同社の実機ワークスペースをタスク整合性の高いデジタルツインとして再構築。 分散コントリビューターにより4万2,000エピソード超のシミュレーションを収集し、 Booster専用モデルプライアへと蒸留した。 その結果、わずか30件の実機デモだけで成功率87.5%を達成。 汎用π0.5モデルの37.5%に対して大きく上回り、 実世界デモ数を半減させながらπ0.5相当の性能に到達した。

ほかにも、エンボディメント企業ではFeagine Robotics、 モデル企業ではManycore TechやDexmal、 産業オートメーションではLotus CarsやGeely Autoなどがパートナーとなっている。 また、Solana上のBitRobotやBittensor上のOpenRobotoといった オンチェーン・ロボティクスネットワークにもデータを供給している。

物理AIのデータ基盤を再定義

「物理AIの未来は、一度ダウンロードして終わりの静的なデータセットではありません」 とAxis Robotics創業者のChris Feng氏は語る。 「モデルが『次に必要とするデータ』を継続的に生み出すエンジンです。 スケールは広いカバレッジを与え、多様性はノイズの偏りを防ぐ。 閉ループにより、すべての失敗が次の前進に変わる。 そうして複利が効いていくのです」。

Axisは、UCバークレー、カーネギーメロン大学(CMU)、 ジョージア工科大学(Georgia Tech)、上海交通大学(SJTU)出身の研究者と、 3,000万ユーザー超のコンシューマープラットフォームをスケールさせた 連続起業家によって設立された。 研究面では、Georgia TechのJiachen Li助教授がアドバイザーとして名を連ねる。

論文リンク: https://arxiv.org/abs/2607.21588

プロジェクトページ: https://axisaiorg.github.io/AXIS-V1/

データセット: https://huggingface.co/datasets/axisrobotics/Franka-Dataset

Githubコードベース: https://github.com/AxisAIOrg/Axis-V1-Training

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