米ニューヨーク発、2026年10月26日、Chainwire配信
Ritual Chainは、AIエージェントに自前のウォレット、オンチェーンID、機密状態を持たせ、継続的な経済主体として振る舞わせることを可能にする。
元Polychain CapitalパートナーのNiraj Pant氏とAkilesh Potti氏が立ち上げた自律型インテリジェンス研究ラボ Ritual は、EVM互換のレイヤー1ブロックチェーン「Ritual Chain」を正式ローンチした。従来の「主に金融トランザクション実行」を目的としたブロックチェーンとは異なり、Ritual Chainは、ソフトウェア(エージェント)が自ら判断し、資本をコントロールし、外部サービスと連携し、人手に頼らず継続稼働できることを前提に設計されている。AIモデルへのアクセス、秘匿計算、自律スケジューリングといった機能が、EVMアプリケーションにとっての“ネイティブ機能”として組み込まれている点が特徴だ。
この設計により、新たなチェーンを構築する必然性と、他チェーンとの差別化要因が明確になっている。
その最も分かりやすいデモンストレーションが「長寿命AIエージェント」だ。単発の対話セッションではなく、数カ月から数年単位で稼働し続けることを想定したエージェントである。Ritual Chain上のエージェントは、作成したマシンやオペレーターとは独立して継続し、自身のノンカストディアル・ウォレットに保有する資金を自ら管理・支出できる。また、トラステッド・エグゼキューション・エンバイロンメント(TEE)を活用することで、プロンプトや秘密鍵などのセンシティブな情報を計算リソース提供者から秘匿したまま処理することが可能だ。
同ネットワークは、Phala Network、Nous Research、LayerZero、Stargateとの統合を伴ってローンチした。6月から稼働しているパブリックテストネットは既に4,000万件超のトランザクション(エージェント起点・人間起点の双方)を処理済みだ。Ritual Chainのブロックタイムは300ミリ秒未満と、レイヤー1として業界有数の高速性をうたう。さらに、LLM推論、Webアクセス、自律スケジューリングなどを実行レイヤーに直接組み込む15種類のネイティブ・プリコンパイルを実装している。プロトコルはZellicによる監査を受けている。
Ritualは、計算負荷の高い処理を専門ノードに委任し、その結果をネットワーク全体で検証する新しい実行・検証アーキテクチャを採用した。従来の多くのブロックチェーンが採る「全バリデータによる処理の完全複製」を避ける設計である。「一度実行し、多数回検証する」モデルにより、ネットワーク上で扱えるワークロードの規模を大幅に拡大し、AI推論を含むヘビーな計算も、すべてのバリデータに同一計算を強いることなくサポートできるようにしている。
長期稼働エージェントには専用のブロックチェーン基盤が必要
今日、多くのAIエージェントは1セッションの中に閉じ込められている。人間が画面を見ている間だけ、第三者が管理するインフラ上で、いつでも停止され得るAPIキーに依存して動いているにすぎない。チャットボット用途であればそれで十分だが、自らトレジャリー(資金)を管理し、定期課金型サービスを提供し、他のエージェントと長期的に協調する存在には不十分だ。長寿命エージェントには、開発者に依存しない継続性、自ら実際に支配できる資本、そして実行環境のオペレーターからも守られるプライバシーが求められる。
Ritual Chain上では、エージェントの状態とアイデンティティがオンチェーンに保持される。事前に与えられた権限と予算の範囲内でスケジュールされたタスクが継続され、センシティブなインプットはTEE内で処理されることで、ノードオペレーターから遮断される。
継続性はプロトコルレベルで担保する。エージェントが停止した場合でも、チェーン側の「ハートビート」メカニズムが、付与された権限と予算の範囲内で自動的に再始動させる。Keeperネットワークやオフチェーンのcronジョブは不要であり、エージェントの状態とIDはデプロイヤーの関与を超えて存続する。経済的自律性はエージェントが直接管理するウォレットによって実現される。人間の署名を経ることなく、エージェント自身が資金を動かし、サービスの価格を設定し、トランザクションの清算まで完結させる。秘匿処理については、TEEがエージェントのプロンプト、鍵、戦略データといったセンシティブな情報を、計算を実行するノードオペレーターから隔離する設計だ。
> 「AGIに向かう過程で、“インテリジェンス”は人間の行為主体性から切り離され、独自の条件で経済領域に入り込みつつあります。インテリジェンスは資産を保有し、約束を交わし、取引し、人間から独立して存続し得るようになる。そのスケールが十分に大きくなれば、市場や経済関係を形成し得る主体はもはや人間だけではありません。Ritualは、そうした新たな経済アクターが自律的に存在し、活動するためのインフラを提供します」と、Ritual共同創業者のNiraj Pant氏は語る。
Ritual Chain、基盤パートナーとともに始動
Ritual Chainは、コアとなるインフラパートナーとの連携を整えたうえでローンチされた。Phala Networkは、Ritualの秘匿推論を支えるGPU搭載TEEを提供し、委任されたAI処理が「何を実行したのか」を証明可能なハードウェア上で走るようにしている。LayerZeroはネットワークのクロスチェーン・メッセージングレイヤーを担い、Stargateを通じてローンチ初日からUSDCをRitual Chainと他ネットワーク間で移動可能とする。アプリケーション面では、Nous Researchが大規模言語モデル「Hermes」をRitual Chainにもたらす。
外部オラクルを介して後付け的にAIアクセスを提供するチェーンとは異なり、Ritual ChainはAI実行機能をプロトコルそのものに組み込んでいる。スマートコントラクトは、資産送金と同じレベルの直接性で、言語モデルの呼び出し、Webからのデータ取得、秘匿計算、将来の自動実行スケジュール設定を行うことができる。開発者は標準的なEVMコントラクトをデプロイするだけで、追加のツールチェーンを必要とせず、こうした機能を利用可能だ。
ArchetypeとPolychainが出資
Ritualはこれまでに、ArchetypeとPolychain Capitalから総額3,000万ドル超を調達している。アドバイザーには、NEAR共同創業者のIllia Polosukhin氏、Gauntlet創業者のTarun Chitra氏、BitMEX共同創業者のArthur Hayes氏らが名を連ねる。2023年の資金調達ラウンドはArchetypeがリードした。
> 「プログラマブルバリューとプログラマブルインテリジェンスは、インターネット以来で最も重要な2つの技術です。Ritualのメインネットは、その両者が初めて同じレール上で走る場所になります。私たちが2023年のラウンドをリードした時点では、エージェント的かつ自律的な処理をネイティブに実行できるチェーンは存在しませんでした。それが今、現実のものになったのです」と、Archetype創業者兼ゼネラルパートナーのAsh Egan氏は述べている。
開発者は、docs.ritualfoundation.orgで公開されている外部サイトから初日からデプロイを開始できる。ネットワークエクスプローラーはexplorer.ritualfoundation.orgで提供されている。
Ritualについて
Ritual は自律型インテリジェンスの研究・開発ラボである。初のネットワークであるRitual ChainはEVM互換のレイヤー1で、アプリケーションはAIモデルを利用し、外部サービスにアクセスし、オンチェーン・トランザクションと並行して秘匿処理やスケジュール済み処理を実行できる。計算はTEE上で委任実行され、その結果がオンチェーンで検証される仕組みだ。2023年に元Polychain CapitalパートナーのNiraj Pant氏とAkilesh Potti氏により設立され、ArchetypeとPolychain Capitalから3,000万ドル超を調達。チームはPolychain、DeepMind、a16z crypto、Flashbots、Palantirなどの出身者で構成されている。詳細は ritual.net を参照のこと。
問い合わせ先
Jody Rebak
Ritual
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