イーロン・マスク氏は24日開催のテスラ決算説明会で、テスラとスペースXの経営統合について「あり得ない」とは言わず、 長年の株主である投資家が両社統合の確率を90%へ引き上げる要因となった。
注目ポイント
- マスク氏は両社の事業領域の重なりが拡大していると指摘しつつも、統合の是非を決算説明会で論じる場ではないと発言した。
- ディープウォーター・アセット・マネジメントのジーン・マンスター氏は、このやり取りを受け、統合の確率見通しを80%から90%へ引き上げた。
- テスラは第2四半期の売上高が過去最高の282億4,000万ドルとなった一方、1株当たり調整後利益は0.33ドルと市場予想を大きく下回った。
統合質問をかわすマスク氏
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、コリン・ランガン氏が、テスラとスペースXを将来的に統合すればシナジーが生まれるかと問いかけると、 マスク氏は両社の「収れん」を示唆しつつも、具体的なコミットメントは避けた。
同氏は、テキサスで両社が共同で進める半導体プロジェクト「Terafab(テラファブ)」を例に挙げ、両社の関係は今後も 一段と重なっていくとの見方を示し、「巨大なプロジェクトだ」と強調した。
そのうえで、企業統合の是非は適切な手続きを経て議論すべきであり、四半期決算の場で語ることではないと話題を打ち切った。 法務トップのブランドン・エアハート氏も慎重なトーンで補足し、スペースXはテスラの株式持分および今年締結したフレームワーク契約を通じた 「パートナー」だと位置づけた。
一方でマスク氏は、その後数分間にわたり両社のつながりを列挙した。衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」については テスラが構想する自動運転タクシー「Cybercab(サイバーカブ)」に搭載され、将来的にはサービス展開地域で販売される すべてのテスラ車に広がると説明した。ロボタクシーは移動中に通信が途切れることが許されないためだ。
さらに、AI「Grok(グロック)」が人型ロボット「Optimus(オプティマス)」の頭脳を担う構想にも言及し、 テラファブなしではオプティマスの量産拡大は難しいとの見方を示した。
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ジーン・マンスター氏、統合確率を90%へ
ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネージング・パートナー、ジーン・マンスター氏は、SNS「X」への投稿で、 この日のやり取りが自身の見方を変えたと明かした。
同氏は、数年以内にテスラとスペースXが何らかの形で統合する確率を、決算発表前に想定していた80%から90%へ引き上げたと説明。 経営陣が統合案に関する質問に、ここまで踏み込んで応じたこと自体が「サプライズ」だったと述べた。
もっとも、決算内容そのものは株主にとって明るい材料に乏しかった。売上高は前年同期比26%増の282億4,000万ドルと 過去最高を更新した一方で、1株当たり調整後利益は0.33ドルとウォール街の予想を大きく下回り、営業利益は3億9,800万ドルへと減少した。
最高財務責任者(CFO)のヴァイバヴ・タネジャ氏は、今年の設備投資が250億ドルを上回り、今後も増加基調が続くとの見通しを示した。 その結果、フリーキャッシュフローは約10億ドルのマイナスになると説明している。
テスラとスペースX、広がる資本・事業の結びつき
マスク氏は、複数企業グループを「束ねる」手法をこれまでも繰り返してきた。今年2月には、 スペースXがAI企業xAIを吸収し、統合後の企業価値は1兆2,500億ドルに達した。 それに伴い、テスラがxAIへ出資していた20億ドルは、スペースX株式への転換という形で整理された。
その後、ロケット事業を手がけるスペースXは、6月の上場で750億ドルを調達し、 調達額としては過去最大規模となった。ただし、株価は上場直後の高値から足元では大きく反落している。
テスラ株も年初来で約17%下落しており、市場の評価は決して一枚岩ではない。マスク氏は過去にも2016年に太陽光発電事業の SolarCityをテスラに取り込み、2025年には旧「X」をxAIに統合しており、いずれの案件でも「マスク氏が売り手と買い手の 両側に立った」とのガバナンス面での批判がつきまとった。
テスラとスペースXの統合シナリオをめぐっても、実現した場合には同様の利益相反リスクをどう管理するかが、 市場の大きな焦点となりそうだ。





