イーサリアム (ETH) 上のアプリケーションが直近四半期に生み出した手数料収入は18億ドルに達した一方、ベースチェーンであるレイヤー1(L1)が取り込めたのは8,800万ドル、全体の約4.9%にとどまったことがオンチェーンデータから分かった。
注目ポイント
- 2026年第2四半期、イーサリアムL1が生み出した実質的な経済価値は8,800万ドル超と、前期比7%増
- ロールアップは現在、1秒あたり約1,270件のユーザーオペレーションを清算するのに対し、メインネットは20.4件にとどまる
- ETH価格は7月に20.3%上昇し、過去1年で最も好調な月に。8月入り時点では1,867ドル近辺で推移
イーサリアムL1の「価値取り込み」、成長に追いつかず
アナリストの 田中 氏は、公開されているオンチェーンダッシュボードを基に四半期ベースの数字を集計した。その結果浮き彫りになったギャップは、イーサリアムと、その価値を支えるトークンETHを巡る最大の論点の一つになりつつある。
田中氏によれば、イーサリアムL1が4〜6月期に生み出した「実経済価値」は8,800万ドル超で、年初の第1四半期からは7%増加した。しかし同じ指標で見ると、前年同期比では依然として約70%低い水準にとどまる。
スループット(処理能力)の姿も、数字だけ見ればいびつだ。ロールアップは現在、1秒あたり約1,270件のユーザーオペレーションをL1に書き戻しているのに対し、メインネットの処理は20.4件程度に過ぎない。Robinhood Chain だけで、イーサリアムL1のおよそ5倍のボリュームをこなしている計算だ。
イーサリアムは今年7月でローンチから11年を迎えた。マージ以降に実装された一連のアップグレードにより、ネットワークの処理能力はPoW時代を大きく上回るまでに拡張されたものの、その成長分をトークンETHが十分に取り込めていない構図が鮮明になっている。
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田中氏「イーサリアムの投資テーマはトークン化金融へシフト」
とはいえ、田中氏はイーサリアムが「壊れている」と見るわけではない。むしろETHは引き続き買い増し・長期保有のスタンスだという。従来の投資ストーリーは、「ユーザー数の増加 → 手数料の増加 → 焼却量の増加 → 供給タイト化」という、ネットワーク利用拡大とバーンメカニズムに軸足を置いたものだった。
ただ、そのロジックは弱まりつつある。市場の視線は、トークン化された金融商品と、その決済レイヤーとしての役割に移りつつある。
現在、発行済みETH 1億2,188万枚のうち約4,110万枚(約33.7%)がステーキングによってネットワークの安全性を支えており、そのステーキング利回り(新規発行ベース)はおおむね年率2.6%前後とされる。一方で、直近7日間の「ブロブ手数料」で焼却されたETHは約0.22枚にとどまり、新規発行を実質的に相殺するには程遠い。年率ベースのETH供給増加率は0.85%近辺で推移している。
イーサリアム上のトークン化現実資産(RWA)は、総額で170億ドル超まで拡大している。ステーブルコイン市場も、総流通額で3,000億ドルに迫る規模まで膨らみつつある。
田中氏は、イーサリアムの「アドバンテージ」はもはや安価なトランザクションではなく、機関投資家向けの決済・清算インフラにあると指摘する。
焦点となるのは、(1) ブロブスペースが将来的に本当に逼迫し、手数料やバーンに意味のある影響を与えるのか、(2) 機関投資家がETHを準備資産(コラテラル)として保有し始めるのか――という2点だ。スケーリング自体は、もはや主たる課題ではないと同氏はみている。
ETH価格、2,000ドルのレジスタンスを下回ったまま
ETHは6月に21.8%下落し春先の戻り相場の多くを吐き出したが、7月は一転して20.3%上昇し、この1年で最も強い月となった。7月の推移を終え、8月入り時点のETH価格は1,867ドル近辺で推移している。
それでも、2026年序盤に割り込んだ2,000ドルの節目はなお回復できておらず、過去最高値からは約60%下に位置する。ETHを裏付け資産とする現物ファンドは7月に3億6,517万ドルの資金流入を記録し、年初来で最も強い月となった。これにより、関連商品全体の純資産残高は100億ドルを上回っている。






